お腹の張りを甘くみてはいけない


 なかなか治らない頭痛や胃腸トラブル、アレルギーや自律神経失調の原因が「お腹の張り」にあるとは誰も教えてはくれないでしょう。

症状があるから病院へ行き、検査をしてみたけれど特に異常は見つからず、不定愁訴として片付けられてしまっている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、頭痛や胃腸トラブル、アレルギーや自律神経失調のような不定愁訴の原因の一つに " お腹の張り(腹部膨満)" があるということを説明していきたいと思います。

 

お腹の張りが引きおこす様々な症状


「お腹が張っているだけで」と思うかもしれませんが、お腹が張っていることから様々な症状が引きおこされ得るのです。

例えば、腹痛、便秘、下痢、胃酸逆流といった胃腸症状、腰痛、膝痛、坐骨神経痛といった腰や足の痛みやしびれ、

頭痛、ブレインフォグ、うつ病のような脳の症状、動悸、頻脈、高血圧、不眠のような自律神経失調、頻尿、膀胱炎のような尿トラブル、副鼻腔炎、気管支炎、皮膚炎といったアレルギー症状などです。

 

上記の症状の原因のすべてがお腹の張りにあるわけではありませんが、「お腹の張り」もこれらを引きおそす一要因なのです。

そのため、「たかがお腹の張り」と無視していたり放置していたりすると、上記の症状が少しずつ出てきて、それが続くことで二次的疾患が引きおこされてしまう恐れも十分にあるのです。

 

では、なぜお腹が張っていると上記のような症状が出るのかを見ていきましょう。

 

 

お腹の張りが引きおこす胃腸症状

 お腹の張りを引きおこすのは腸内細菌により産生される「ガス」です。ガスで腸が膨らむと、それだけで腹痛を感じることもあり、ガスが腸壁を刺激することで下痢がおこりやすくなります。

また、ガスで腸がずっと膨らんでいると、本来の収縮運動が弱まり、便を排出しにくくなり便秘になりやすくなります。

特に、検査などで異常がないにも関わらず上記の症状を繰り返す場合、「過敏性腸症候群(IBS)」と言われます。

 

また、腸内細菌は主に大腸にいますが、食生活が悪いと、小腸でもガスが増えてしまいます。細菌はこの小腸で細菌が増えてしまう「小腸内細菌増殖症(SIBO)」の方が多いです。

小腸で増えたガスが胃へ逆流しやすくなり、ガスとともに細菌も胃へ移動しやすくなります。

さらに、大腸(特に横行結腸)にガスがたまっていると、胃を圧迫してしまい、胃酸が逆流しやすくなります。

 

胃酸の逆流を繰り返していると、胃酸で食道が傷つき、逆流性食道炎にもなりやすく、その際胸やけや胸やけによる咳なども出てきます。

 

 

お腹の張りが引きおこす腰や足の症状

 首と同じように、実はお腹から足に向かう血管は非常に重要なものが多く、太い血管が何本も通っています。

腰痛は原因が様々あり、腰椎や骨盤が原因で痛みがおきていることも多いです。しかし、それ以外にも、お腹がガスで張っていることが原因で痛みを引きおこしていることも多いのです。

 

お腹がガスで膨れると、腰や足に向かう血管が圧迫され、血流が低下します。それにより痛みやしびれが生じます。

特に、「左側だけ」痛いという方が多いですが、左腰にあたる大腸(S状結腸)にガスがたまっているのが原因です。

 

 

お腹の張りが引きおこす頭痛症状

 頭痛は、以前こちらの記事で「お腹が張ると脳への血流が低下し頭痛をおこす」と説明しました。  

それ以外にも、お腹でガスが増えることで頭痛を招く要因があります。それが「乳酸」です。

乳酸をつくる腸内細菌は、腸内細菌全体でみると少ない割合ですが、上記で説明したIBSやSIBOなどで腸内細菌が増えてしまっていると、乳酸をつくる菌も増えてしまいます。

 

そのため、腸内細菌が増えていると、ガスだけでなく「乳酸」も増えてしまい、それが乳酸アシドーシスを引きおこします。

乳酸アシドーシスでは、血液が酸性化してしまっている状態で、それが頭痛を引きおこす原因になるのです。また、うつ病では血液が酸性化し炎症が起きやすい状態という研究報告もされています。

 

 

お腹の張りが引きおこす自律神経症状

 はじめに、お腹が張っていると腸の上部に位置する横隔膜が持ち上げられ、下がらなくなります。横隔膜は息をしっかり吸うために重要ですが、持ち上げられた状態が続いていると息を十分に吸えなくなります。

食後に息が吸いにくかったり、お腹が張っている時に寝ころがるとなんとなく「息が吸いにくい」というのを体験したことがある方もいるかと思います。

 

息が十分吸えなくなっていると、体はしっかり吸おうと気管支を広げようとします。それが副腎から放出される「アドレナリン」の役割です。

アドレナリンは、体が興奮状態(ストレスや恐怖心など)の時にも出るホルモンで、自律神経のうち交感神経を刺激します。

その刺激により気管支は広がりより息が吸いやすくなるのですが、同時に、動悸がしたり脈が速くなったり、高血圧、そして寝付けないという不眠にもつながる恐れがあります。

 

 

お腹の張りが引きおこすアレルギー症状

 上述の、お腹の張りと胃腸症状の項で、"小腸で細菌が増える=SIBO" の方が増えていると言いました。

小腸で細菌が増えてしまうと、小腸でのガスも増えてしまいます。小腸で増えたガスはゲップなどで食道から抜ける際、細菌も一緒に食道に連れてきてしまうことがあります。

 

食道に移行した細菌は、気管支を通して副鼻腔まで移動してしまうこともあります。そうなると、細菌を異物として排除しようとヒスタミンが分泌され、アレルギー症状が出てしまうのです。

 

 

お腹の張りが引きおこす排尿トラブル

 上記で、左側の腰や足が痛い場合、S状結腸にガスがたまっていると言いましたが、S状結腸は膀胱とも接している部分になります。S状結腸がガスで膨らむと、膀胱も圧迫され、尿をためられなくなり、頻尿になります。

また、大腸の粘膜がガスの膨れで引き伸ばされると、本来は血液中に移行しない細菌が血液へ入り込んでしまいます。

 

膀胱炎は、外部からの細菌感染と言われていますが、尿道炎などの外側での炎症がないにも関わらず膀胱だけが炎症をおこしている場合、一番考えられるのは大腸から血管を通して細菌が入り込んでいるということです。

特に、細菌性の膀胱炎だけを繰り返す場合、大腸から菌が入り込んでしまっている可能性が高いです。

 

 

お腹の張りを解消することは大事な予防

 このように、お腹の張りは放置していると長い年月をかけて別の場所へ影響を与えてしまいます。

長くなくとも、張るとすぐに痛みが出たり、常になにかの不調を繰り返しているといった場合、お腹の張りを解消してあげることで改善していくことも多いです。

 

張りを改善するために重要なのはお腹の張らない食事にすることや、胃腸のはたらきを高めるようマッサージをしてあげることです。

また、張りがひどい場合はなかなか食事だけでは改善しないことも多く、その際はガスの吸収を高めてあげるマッサージを定期的に行うことで、既に腸にあふれてしまっているガスを減らしていくことができます。

 

また、適度な運動というのと同様、お腹も張らないよう心掛けることで様々な症状を予防することができます。

柔らかく、よくはたらく胃腸にするため、お腹の張りを解消しましょう!