五十肩は整体で改善するものとしないものがある

五十肩になる原因は様々ある


 五十肩には整体で治していけるものと、そうでないものがあります。「ん?」と思われるのも当然です。実は「五十肩」というのは正式な病名ではなく、50歳前後の肩が上がりずらくなる病気の総称を言います。

 

「五十肩」と呼ばれる肩が上がらなくなる病気は大きく分けて下記の4つです。

① 癒着性肩関節包炎

② 腱板断裂

③ 上腕二頭筋長頭腱炎

④ 石灰沈着性腱板炎

 

どこかいまいち分からない体の部位で、漢字も多く、難しいですよね。

 

反対の手で持ち上げてみたり、前後左右どこに持ち上げようとしても痛いという症状であれば、①の「癒着性肩関節包炎」である可能性が高いです。

関節を包んでいる薄い膜を「関節包」と言いますが、その関節包に炎症がおきている状態なので、どの方位に動かしても痛くなります。

この場合、関節の炎症が原因なので、整体で筋肉をゆるめても治りはしません。むしろ、力をかけて押したり揉んだりする施術をしている整体院などでは悪化してしまいます。癒着性肩関節包炎を治すために重要なのは「炎症を鎮める」ことです。

 

自力で腕をあげられなくなり、反対の手や誰かに腕を持ち上げられ、急に放すと激痛がおきる場合は②の「腱板断裂」である可能性が高いです。

肩関節の筋肉(肩甲下筋・棘上筋・棘下筋・小円筋)が上腕骨に付着する部分を、「腱板」といいます。この腱板が骨から剥がれていくことを、「腱板断裂」または「腱板損傷」といい、特に断裂がおきやすいのが、棘上筋の腱板です。 

断裂してしまっているので、①と同様、マッサージなどでは治りません

 

 

重いものを持ち上げることができなくなったり、毎日腕を長時間使っている(料理人など)方がなりやすいのが③の

上腕二頭筋長頭腱炎です。原因は、屈筋の使いすぎなので、マッサージで筋肉をゆるめていくことで改善することができます

 

 

急な激痛を伴う肩の痛みが1~2週間ほど続く場合は、④の石灰沈着性腱板炎である可能性が高いです。

肩の腱板にカルシウム(石灰)が沈着することによって、肩に激痛がおきる病変です。沈着したカルシウムを免疫が攻撃することで炎症がおきるため、激痛がおきます。痛風で、尿酸結晶を免疫が攻撃すると激痛がおきるのと同じです。違いは、尿酸結晶ではなくカルシウムということです。

痛みは1~2週間で自然に治まりますが、腱板に沈着したカルシウムが消えるわけではありません。手術でカルシウムを切除しても治るとは限らないので、無理して除去する必要はないでしょう。

痛み止めで痛みを抑えて、激痛が治まるのを待つのが良いと思います。 腱板にカルシウムが沈着する原因は、明らかになっていませんが、カルシウムが沈着しているのですから、カルシウムを多く摂ることは避けたほうがいいでしょう。 

 

これも、マッサージではどうすることもできません

 

 

五十肩と言っても、原因は様々で、整体やマッサージでは治せないものの方が多いのです。

しかし、そういったものでも、どういう対処がよいかのご説明はできます。

 

 

炎症を鎮めるために重要なこと


五十肩と言われるものの中で、オイルマッサージで改善していけるものは③の上腕二頭筋長頭腱炎だけになります。

①の癒着性肩関節包炎は、とにかく炎症を鎮めることが大事で、痛み止めの服用と炎症を悪化させる食品を徹底して避けることが重要になります。

 痛み止めには、病院で受けるステロイド注射や、内服薬の服用、鎮痛成分を含む湿布を貼ることなどが有効で、痛みが強い場合はこのような対処法を活用することが望ましいです。

 

炎症を悪化させる食べ物としては、リノール酸・レクチン・果糖を重点的に避けることが大事です。

リノール酸は、サラダ油といわれる植物油に多く含まれています。例えば、紅花柚・大豆油・コーン油・ヒマワリ油・綿実油・キャノーラ油・菜種油・グレープシード油・ゴマ油などといった油脂です。

また、これらの油脂に水素を添加してつくったマーガリンやショートニングには、細胞に有害な「トランス脂肪酸」が含まれています。 こういった油脂を調理に使わないようにして、これらの油脂が含まれている加工食品を食べないようにすることです。

バターやラード、ココナッツオイルなどを使うのが好ましく、ドレッシング代わりにはMCTオイルやシソ油(エゴマ油)も良いでしょう。

 

レクチンは、植物が鳥や虫に食べられるのを防ぐためにつくる「毒」で、主に穀類や豆類の外皮や胚芽に多く含まれています。 玄米や雑穀や大豆などをたくさん食べると、レクチンによって胃腸の粘膜に炎症がおきて「リーキーガット」になります。

そうなると、腸から未消化なタンパク質や腸内細菌が血液に侵入するようになり、血液に侵入した未消化タンパクや腸内細菌は、免疫細胞によってすぐに排除され、その際に「炎症性サイトカイン」が生成されます。

炎症性サイトカインは、「炎症をおこせ!」というメッセージ物質なので、 炎症性サイトカインが血液によって全身に循環すると、関節包の炎症がさらに悪化して痛みが強くなります。

 

そのため、できるだけレクチンを摂らないように注意すべきです。

 

<レクチンが多く含まれている食品例>

玄米・雑穀(小麦・大麦・ライ麦・ハト麦・稗・粟・キビ・キヌアなど) 豆類(大豆・小豆・ナタマメ・インゲンマメ・レンズマメ・ヒヨコマメなど) ナス科の野菜(ナス・トマト・ピーマン) ウリ科の野菜(きゅうり・カボチャ・スイカ・冬瓜・ニガウリ)

 

 炎症を促す食品成分の3つ目は、「果糖」です。 腸から吸収された果糖は、肝臓でほぼ100%中性脂肪に変換されます。そして、高脂血症になるか脂肪肝になります。 そうなるとインスリン抵抗性が上がって、高血糖になります。

高血糖になると、血液中の糖とタンパク質が反応して、炎症と老化を促す物質:AGEs(終末糖化産物)が生成されます。それによって、関節包の炎症が悪化します。

果糖は、果物や果汁をはじめ、砂糖や果糖ブドウ糖液糖が入った食品にたくさん含まれています。

つまり、甘いものをたくさん飲んだり食べたりしていると炎症が悪化して治りが遅くなるのです。

  

 

五十肩と間違われやすいスマホ性肩痛


 

  上記のどれにも当てはまらず、話を聞いているとスマホを長時間使っていることによる肩の痛み「スマホ性肩痛」の方が多いです。これは年代に関係なくおこりやすく、特に片手にずっとスマホを持ち、操作は親指で行う、といった動作を長時間しているとなりやすいです。

 

スマホ性肩痛により痛くなるのは肩の筋肉(僧帽筋)で、重さや押されている感じがします。

しかし、肩の筋肉は揉むとかえって痛みが悪化してしまい、もみ返しによる脳梗塞や心筋梗塞の危険性もあります。

そのため、まず痛みを治していくには、「スマホを使う姿勢を変える」ことです。また、長時間の使用を控えることも大事です。

また、片方の手で持ち、もう片方の指で操作することで、親指が内側に入りにくくなるため、それだけでも負担は減ります。

さらに、画面を見るときは目の高さに合わせ、頭(首)が前に倒れないようにすることが大事です。

頭を前に倒した姿勢を続けていると、頚椎が変形しストレートネックになってしまいます。頚椎の変形が進んでいくと、頚椎から腕にいく神経が圧迫されて、腕や肩が痛くなったりしびれたりする「頚肩腕症候群」になってしまいます。

 変形した頚椎は元の形に戻ることはないので、普段から「頭を前に倒してスマホを見る」という習慣を直すことが大事です。

 

 

 

「肩が痛い」というとき、「何が原因で痛みが出るか」をしっかり見極めなければ、治していくことができません。

マッサージで改善していけるものとそうでないものがありますが、それぞれの原因で対処法が異なりますので、まず原因をはっきりさせることが重要です。

難しくよくわからない場合は、ぜひ一度症状などをご相談ください。一緒に原因を見つけていきましょう。